第二種衛生管理者試験の「労働生理」分野では、体の基礎機能(呼吸・循環・代謝・神経・感覚など)を労働との関わりで問われます。
その中で「心臓・循環系」は必ず出題される重要テーマです。
医学部並みの知識は不要で、労働や健康管理に直結する基本事項を覚えておくのがコツです。
✅ 労働生理における心臓のポイント
① 心臓の基本的役割
- 心臓は血液を全身に送り出すポンプ。
- 血液を送り出すことで、酸素と栄養を運び、二酸化炭素や老廃物を回収する。
- 1分間の拍出量(心拍出量, cardiac output)= 心拍数 × 一回拍出量。
- 安静時:約5L/分
- 激しい運動時:20L/分以上
② 心臓の構造
- 右心房 → 右心室 → 肺(肺循環)
- 左心房 → 左心室 → 全身(体循環)
- 血流の順序を押さえておくと、試験で問われる「動脈血」「静脈血」「肺循環と体循環」の理解につながる。
③ 脈拍と心拍数
- 成人の安静時脈拍数:1分間に60〜80回程度
- 運動時:心拍数は増加し、酸素供給を高める。
- 労働負担の指標として脈拍数が使われる。
- 作業前後の脈拍上昇が大きいと「負担が過大」と判断される。
④ 血圧
- 血圧=心拍出量 × 末梢血管抵抗
- 収縮期血圧(最大血圧):心室が収縮した時の圧力(上の血圧)。
- 拡張期血圧(最小血圧):心室が拡張した時の圧力(下の血圧)。
- 正常値:120/80 mmHg 前後。
- 高血圧(140/90以上)は労働者の健康管理上、重要なチェック項目。
⑤ 自律神経と心臓
- 交感神経:心拍数を増加 → 労働や運動、緊張時に働く。
- 副交感神経:心拍数を減少 → 休養時や睡眠時に働く。
➡️ 労働によるストレスや過労 → 交感神経優位 → 高血圧・心疾患リスク増大。
⑥ 労働との関わり
- 長時間労働・過重労働 → 高血圧、狭心症、心筋梗塞のリスク増。
- 作業環境(高温作業・寒冷作業・酸素不足環境)によっても心臓負担は増大。
- 健康診断で心電図や血圧測定が重視される理由はここにある。

